経済学への扉 経済学 基礎の基礎

2017年11月01日

経済学への扉 第8回

第8回
“インフレーション”&
“デフレーション”とは?

市場において取引されているものは、"ヒト"、"モノ"、"カネ"であることはすでにふれましたが、中でも"カネ"については、世の中に出回っている、つまり流通している総量が様々な価格に大きく影響します。


まず、インフレーション(インフレ)と呼ばれる現象は、財・サービスの価格が上昇する現象と説明できます。この現象は、視点を変えて貨幣の価値という観点から見てみると貨幣の価値が低下する現象と見ることもできます。では、このメカニズムはどうなっているのでしょうか。まずは、需要量から考えていきましょう(図7-1参照)。 第8回7-1.jpg


すでに説明した通り、需要量が増えると消費者は少々高くてもその財・サービスを手に入れようとします。それに対応する形で、すなわち、供給側はよく売れて儲かりますので、供給量は当然、増えることになります。この"モノ"と"カネ"の好循環は、好景気へとつながり、ますます財・サービス・貨幣の流れが盛んになります。その結果、世の中に出回る貨幣の総量が増えることになります。このことは、貨幣一つ当たりの価値すなわち、単価が下がることを意味します。つまり、財・サービスを手に入れようとすると、より多くの貨幣を支払う必要が生じることになるのです。これは、まさに財・サービスの価格、つまり物価の上昇を意味することになります。


一方、デフレーション(デフレ)と呼ばれる現象は、先のインフレーションと全く逆の現象を指します。つまり、財・サービスの価格が下がる現象だということです。視点を変えるならば、貨幣の価値が上昇する現象と表現することもできるのです。では、デフレーションについても、まずは、需要量からそのメカニズムを考えていきましょう(図7-2参照)。 第8回7-2.jpg


需要量が減ると、供給側は財・サービスの売れ行きが悪いので、在庫を処分するために値段を下げることで売り上げを確保しようとします。と同時に、売行きが悪く儲からないので、在庫を増やさないようにするために供給量は減少することとなります。このような悪循環が、やがては"ヒト"、"モノ"、"カネ"の流れが停滞する不景気へとつながるのです。その結果、世の中に出回る貨幣の総量は減少することとなります。そうなると、貨幣一つ当たりの価値、すなわち単価は上昇します。つまり、より少ない貨幣での支払いが可能となるのです。このことは、まさに財・サービスの価格、すなわち物価の下落を意味しています。


失われた20年と呼ばれるバブル崩壊後の日本経済停滞最大の要因は、このデフレーション、さらに言うと、デフレーションがさらなるデフレーションを引き起こす、いわゆる"デフレ・スパイラル"によるものと考えられています。

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